MENU

海に浮かぶ水色の灯り ~ジュエリスの小さな物語~

ジュエリスのブローチに秘められた小さな物語 海に浮かぶ水色の灯り
  • URLをコピーしました!

Little Tales Hidden Within a Jeweliss’s Brooch
それは、ジュエリスのブローチに秘められた小さな物語。

海に浮かぶ水色の灯り

海辺の小さな町では、夕暮れになると世界が少しだけ静かになります。

石造りの家々の向こうに広がる海はオレンジ色からだんだんと深い群青色に染まっていき、
辺りには穏やかな波音だけが浜辺に響いていました。

その町の灯台では、一人の若い女性が海を見守る仕事を手伝っていました。
彼女の名前はオディール。

潮風に揺れる栗色の髪と、澄んだ海のような青い瞳を持つオディールは、
灯台守の助手として働いていました。
真面目で責任感が強く、灯台守のおじいさんはもちろん、
小さな町の人々からも信頼されていました。

ある晩、灯台守の助手をしている少女オディールは、
初めて夕暮れから夜までの見回りを任されていました。

「もし天気が変わったら、海の様子をよく見ておくんだよ」

見回りに出る前、灯台守のおじいさんからそう言われたものの、
慣れない役目に少し緊張していました。

夕暮れの海は穏やかで、沖へ出た漁船もいつも通りの時間には戻るはずでした。

ところが日が沈んでしばらくすると、海から冷たい風が吹き始めました。
やがて白い霧が音もなく広がり、沖合を覆ってしまいました。

オディールが胸の前でそっと手を握りしめ、水平線を見つめていると、
遠くの海面に、月明かりを溶かしたような淡い水色の光がいくつも現れました。

霧の中を漂う水色の光がゆっくりと近づくにつれ、その正体が少しずつ見えてきました。
それはクラゲの群れでした。

透き通る傘は宝石のような水色に輝き、
長い触手は波に揺れながら、小さな光の粒をこぼしていました。
クラゲたちはゆっくりと一列に並び、
まるで海の上に水色の道を描くように漂い始めました。

しばらくすると、霧の向こうから漁船の明かりが見えました。
船は不思議な光の道をたどるように進み、無事に港へ戻ってきました。

船が港へ近づくと、待っていた人々から安堵の声が上がり、
オディールも胸をなで下ろしました。

翌朝にはクラゲたちの姿は消えていましたが、人々はその夜の出来事を忘れませんでした。

それ以来、町では海に光の道が現れる夜を「幸運の潮路」と呼ぶようになったのです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次