秋のおしゃれを楽しみたい方は、着物の柄や色選びに迷うことも多いのではないでしょうか。特に秋は収穫の時期でもあり、紅葉などの豊かな自然がイメージされる季節。着物で秋らしい印象を演出するには、伝統的な植物モチーフや四季を感じさせる色使いを知ることが大切です。
今回の記事では、秋におすすめの着物柄や色の選び方、帯や小物でのコーディネート方法、シーン別の装い方まで詳しく解説します。会社のイベントや結婚式、カジュアルなお出かけにもぴったりな、秋の和装のポイントがわかるのでぜひ参考にしてください。
秋の着物選びで大切にしたい柄と色の基本ポイント
秋の着物を選ぶ際には、季節感だけではなく自分に似合う柄や色を意識することで、より魅力的な和装を楽しめます。例えばパーソナルカラーを取り入れると、肌の色になじみやすく、全体的に明るい印象や華やかな雰囲気を演出できます。また、体型や身長に合わせて柄の大きさや配置を選ぶと、スタイルアップ効果が期待できます。身長が高めの方は大きめの柄やはっきりした模様を、身長が小柄な方は細かい柄や淡い色合いをチョイスするとバランスよく見せることができます。

参加するイベントや行事の内容も重要です。たとえば結婚式やフォーマルな席では上品で落ち着いた色や伝統的な文様や季節の花、カジュアルな集まりでは遊び心のあるモチーフを選ぶことで、TPOに合わせた着物コーディネートを楽しめます。イベントごとの雰囲気や会場のイメージに合わせて、帯や帯留などのモチーフや色使いを工夫すると、全体の印象が引き締まりおしゃれ度がアップします。秋の着物で自分らしさや個性を活かした装いを目指すなら、これらのポイントを意識して選ぶことが大切です。
着物の季節感を先取りする色使いと柄合わせの工夫
着物選びでは、季節を先取りする色や柄を取り入れると、装いの完成度が高まります。日本の伝統では、季節が少し進んだモチーフや色を選ぶことで、周囲にも粋な印象を与える工夫が続けられてきました。また、深みのある赤や茶色、緑色といった色調は、秋のイメージを演出します。とはいえ、季節感を厳格に守るより、着る方の好みも大切にしましょう。カジュアルな集まりではお気に入りの柄や色を自由に楽しむのも素敵です。季節感を意識すれば日本の四季を存分に満喫でき、イベントやコーディネートの幅も広がります。
秋にふさわしい着物の柄の選び方とコーディネートの考え方
秋の着物には、自然や季節を表現した美しい柄が多く用いられます。紅葉や月、萩、桔梗、撫子、葡萄、山茶花などは、秋を代表する人気の柄として知られています。これらのモチーフは秋の深まりや夜長、実りの季節を豊かに演出し、着姿にしっとりとした趣を添えてくれます。
コーディネートでは、着物の柄に合わせて帯や帯留などの小物も秋のイメージに寄せるとより一層季節感が引き立ちます。たとえば紅葉のきものには深緑や茶色、金色の帯を組み合わせると上品で温かみのある雰囲気になりますし、月や秋の七草の一つである桔梗の柄には淡いブルーや紫など落ち着いた色味のアイテムを用いると大人っぽい印象にまとまります。
柄だけでなく生地感にも注目すると、袷の生地やちりめんなど、秋らしい素材選びも楽しめます。秋の着物は種類も豊富なので、イベントやシーンによってデザインを選び分けてみてはいかがでしょうか。自分に合った柄や色で和装を楽しみながら、秋の自然や風物詩を身近に感じてみてください。
秋の着物に人気の花や植物モチーフの代表的な柄一覧
秋の着物には、季節を感じさせる花や植物のモチーフが数多く用いられています。代表的なのは紅葉(もみじ)。朱赤や黄色の葉が秋の深まりを表現し、優雅な印象を与えます。また、月をモチーフにした文様は十五夜のお月見や秋の夜長を思わせ、大人っぽい雰囲気を演出します。
萩(はぎ)は細やかな葉や花が散らばり、控えめながら優美なイメージです。桔梗(ききょう)は星のような花形が特徴で、紫色が大人の女性の落ち着きを表現します。撫子(なでしこ)は淡いピンクがかわいらしく、秋の風情をさりげなく演出します。葡萄(ぶどう)は豊かな実りを象徴し、コーディネートに季節感と品をプラスします。さらに山茶花(さざんか)は秋から冬に咲き始める花であり、冬支度を感じさせるアクセントとして人気です。
これらのモチーフは、訪問着や小紋、浴衣などさまざまな種類の着物に使われており、帯や帯揚げ、小物との組み合わせ方で無限に表情を変えます。秋の着物を選ぶときは、自然のモチーフを上手に取り入れることで、季節の移ろいを装いに表現しやすくなります。
秋の情景が感じられる着物がない時は帯留や髪飾りで秋らしさを加えると良いでしょう。和装小物がなくても秋らしいブローチがあればコンバーターを使うことで誰でも簡単に帯留や髪飾りにすることができます。ブローチなら和装の時以外でも使えてデザインの種類も豊富なので、季節にあわせて何点か用意しておくと季節の移ろいを表現できます。
秋のイベントや女子会、結婚式などシーンに合わせてお気に入りのモチーフを選び、自分だけのおしゃれな着物コーディネートを楽しんでみてください。
秋におすすめの着物の色選び:茶色・緑・赤など季節を意識した配色
秋の着物選びでは、柄だけでなく色使いにもこだわるとより季節感が引き立ちます。紅葉や十五夜といった秋の風物詩を思わせる黄色や朱色、ベージュやからし色は代表的なカラーです。これらは紅葉や桔梗、菊など華やかな印象の柄と合わせると美しいコントラストが生まれます。さらに、深みのある赤や緑、紫、茶色などを取り入れるとしっとりと落ち着いた雰囲気になります。季節を意識した配色選びを楽しみながら、自分にぴったりの色や柄の調和を感じてください。この秋は定番色だけでなく、気分やシーンに合わせて新しい表現を試してみるのも素敵です。
秋に映える着物柄とイベントシーン別の選び方
秋の深まりを感じるイベントが多い季節は、着物選びでも秋の季節感を演出することで、よりおしゃれで印象的な装いになります。着物には洋服と同じように衣替えの文化があり、生地や仕立て、柄も季節によって少しずつ変化していきます。秋の前半である9月には萩や桔梗など初秋の花が描かれ、10月からは紅葉や葡萄、月といった秋本番を感じさせるモチーフが人気です。11月は山茶花や菊、椿など冬支度前の花柄がアクセントになります。
イベントに合わせて柄を選ぶのもポイント。たとえば七五三や結婚式なら上品で艷やかな文様、カジュアルなお出かけでは遊び心のある秋草文様や動物柄などを取り入れると楽しいです。さらに小物や帯で差し色や季節のイメージを取り入れると、個性が際立つ秋の着物コーデが仕上がります。
とはいえ、季節ごとに着物をそろえるのは大変なもの。気になる柄やコーディネート方法があれば、着物のレンタルサービスを利用するのもオススメです。
9月
秋の気配を感じ始める9月は、秋を感じさせるような深みのある色や秋の情景を思わせる柄を選ぶのがおすすめ。柄で迷った場合は、秋の七草をヒントに、桔梗・女郎花(おみなえし)・萩・尾花・ワレモコウ・野菊・葛といったものを選ぶとよいでしょう。菊模様や蜻蛉、中秋の名月にちなんでお月さまといった秋の風景が描かれた柄も素敵ですね。
萩・桔梗・紅葉・彼岸花・秋草・稲穂・月・葡萄
9月に帯留や髪飾りにおすすめのブローチ
10月の着物柄|秋風とともに楽しむ紅葉・菊・波の文様
10月は、紅葉、秋色、秋の花や収穫時期を迎える稲や麦、木の実など日本の秋の美しさを感じさせる柄がおすすめです。秋に合う着物柄の定番は、萩や紅葉、菊、桔梗といった植物モチーフです。特に菊は9月初旬から10月初旬にかけて見頃を迎えるため、10月の装いにもよく合います。また、7月から11月まで楽しめる葡萄柄もオススメです。
紅葉・菊・彼岸花・秋草・稲穂・月・リンドウ・松葉、松毬(まつぼっくり)
紅葉は秋の気配を真っ先に感じさせる柄として知られていますが、桜や笹、梅など他の季節の植物と組み合わせた柄なら一年を通して着られます。中でも菊は国花としても取り上げられ、そのため開花期以外でもイベントや訪問の和装に使いやすいです。一年で最も自然が色づく秋に、和装で四季折々の風景と文化を身にまとい、気持ちの良い秋のお出かけや行事を楽しみましょう。
10月に帯留や髪飾りにおすすめのブローチ
木の葉の上に実った淡水パールの実が秋の雰囲気ただようブローチ。帯留にはもちろん髪飾りとして使っても秋らしくて素敵。

秋は銀杏モチーフが人気。緑から黄色に色づいていく様子は美しい秋の情景の一つ。帯留などに使うだけでなく、鞄につけても秋らしさを演出できます。

11月の着物柄|お祝いにもぴったりな菊・楓・季節の花々
紅葉が深まり、冬の訪れを感じる11月の着物選びでは、秋の深まりやお祝いムードにふさわしい菊や紅葉、萩、楓といった季節の花々や木の葉柄が映えます。紅葉の柄は秋の代表格で、単体でもほかの季節の植物柄と組み合わせても自然に馴染みます。葡萄や柘榴もこの時期の着物におすすめの果実柄です。さまざまな葉が風に集められた「吹き寄せ」は、秋の自然美を象徴する文様として親しまれています。
11月にはお祝いのイベントや結婚式も多く、華やかかつ上品なモチーフを取り入れた着物コーディネートが重宝します。季節感を楽しみながら、秋らしいきものの装いを工夫してみてください。
11月は紅葉が深まり、冬の訪れを感じる季節です。、温かみを演出する深みのある赤色や茶色で秋を表現しましょう。
深みのある赤やオレンジで紅葉、黄色や芥子色(からしいろ)で銀杏、茶色で落ち葉など、自然の色を参考に秋から冬への移ろいを感じさせる色を選ぶと良いでしょう。
紅葉・銀杏・楓・吹き寄せ・山茶花・木の実・野菊・枯山水(かれさんすい)
11月に帯留や髪飾りにおすすめのブローチ
秋に着る着物の種類 単衣から袷へ
季節が移り替わる秋の季節には、洋服と同じで着物も衣替えが必要です。
うだるような暑さの8月から、暑さがだんだんとマシになって、夏から秋へと季節が移り変わる9月は、夏用の透け感のある薄物から「単衣(ひとえ)」に衣替えをする時期。9月の上旬は薄物をまだ着ていても良いのですが、結婚式や式典などのフォーマルな場所では、季節の変わり目とされる9月1日から薄物ではなく単衣を着用した方がよいでしょう。
単衣とは、表の生地だけをつかって裏地なしで仕立てた着物のこと。夏が近づいてムシムシとしてくる6月やまだまだ暑さが残る9月に裏地のある袷を着用すると暑いため、6月と9月は表地だけで仕立てられた単衣を着用するとされています。6月に着る「春単衣」と9月に着る「秋単衣」の着回しにこれといった決まりは特にありませんが、9月に着る秋単衣は深みのある秋らしい色を選ぶことが定番となっています。
秋めいてくる10月は、裏地のない単衣から胴裏、袖裏、裾回しなどに裏地のある袷(あわせ)に衣替えをする季節でもあります。袷は暑い時期を除いた10月~5月までと、一年の中で最も長い間着ることができる着物のことです。ただし、10月は衣替えする季節とはいっても、結婚式や式典などのフォーマルな場や、10月後半の時期に単衣を着ることは避けた方が無難です。
11月は袷の着物を着ます。たとえ汗ばむような暑さが残る気温であったとしても袷の着物を着るようにした方がよいでしょう。
秋の着物柄で季節の装いを楽しむためのまとめと参考情報
いかがでしたか?
秋の着物は、紅葉や月、萩、桔梗、撫子、葡萄、山茶花など日本の四季や自然を映し出す柄を選ぶことで、装いに深みが生まれます。こうしたモチーフを上手に取り入れることで季節感たっぷりのおしゃれなコーディネートが完成します。コーディネート初心者でも取り入れやすいのが秋の魅力。気軽に色や素材を重ねて、ぜひたくさんお出かけを楽しんでみてください。それぞれのシーンや気分に合わせて帯や小物を選ぶことで、着物コーディネートの幅が広がります。
帯や帯留などの和装小物との色合わせも楽しみながら、ぜひあなただけの秋の着物スタイルに挑戦してみてください。素敵な秋の和装時間を過ごしてくださいね。
今ある置物で秋らしい季節感を簡単に演出したい時は、ブローチコンバーターを使ってブローチを帯留や髪飾りに変身させましょう。ブローチはモチーフの種類が多く、和装の時だけでなく普段使いもできるためおすすめです。お気に入りのブローチを手に入れて、これからの季節の装いをもっと楽しんでみませんか。常時200種類以上がそろうブローチ専門店なら、きっとあなたに似合う素敵な一品がみつかるはず。ぜひチェックしてみてくださいね。

















